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トップインタビュー:山本 幸夫さん

エジプトと木版画の融合
-前回のお話では定年を過ぎてからエジプトに初めて赴かれたと言う事でしたが?
 そうですね、エジプトの事に興味を持ったのは子供の頃だったと思います。写真か何かでピラミッドとスフィンクスを見てすごいなーと思ったのが始まりでしたね。初めてエジプトへ行ったのは定年後の97年でした。
 その時宿泊したホテルは、有名なメナ・ハウス・オベロイというホテルで未明にカイロに到着した私は、睡眠をとって朝方に観光に出かけようと思い玄関先に出たんですよ。そこで幾本かの柱の間から聳え立つクフ王のピラミッドが見えたんですよ。エジプト最初の感動でした。
 色々な人たちの話を聞くよりも、様々な文献を読んで創造するよりもずっと壮大で、人類の歴史、建築物に対する畏怖を感じましたね。帰国後から、すぐにエジプトの版画製作に取り掛かったんですね。

-なるほど、メナ・ハウス・オベロイはピラミッドの目と鼻の先といっていいくらい目前に迫っていますからね。その迫力は相当なものですよね。エジプトでの思い出など特に印象深かったのはありますか?
 見るもの全てが印象深くてどれをとっても語りつくせないですよ(笑)でも、中でもよかったのはナセル湖のクルーズですね。これは印象深かったです。なにせ、ナセル湖のクルーズは人気がないせいか、あまり行く事が出来ないんですよ。それでも行きたかったので旅行会社にお願いして無理に手配してもらったりして。ナイル川がテーマの木版画を製作していたので必ず行きたいところだというのもあったのですが、初めてエジプトでアブシンベルのあたりを回った時にクルーズ船が向かってきているのを見てから、憧れがあったんですよね。
 ナセル湖クルーズの途中に船の甲板でスケッチをしていたら、外国の人が近づいてきたので持って来ていた木版画をプレゼントしたんです。そうしたら相手も画家だったみたいで、スケッチの一枚をいただいたりして。いろいろな話で盛り上がったのです。

-同じ芸術の中で生きる人と会話する事もできたという事なのですね。ナセル湖も頻繁に訪れることが出来る場所ではないみたいですし、貴重な体験をなさったという事ですね。
 そういう事になりますね。ほかに体験としては私、ラクダを見つけるとすぐに乗ってしまうんですよ。乗ると大体視線の高さが3mくらいになるので。背が低いのでいつも低い視線で見る事しかないですから、上から眺めてみたくなるんですよね。

-なるほど(笑)現在もナイルをテーマに大きな作品を制作中だと伺ったのですが?
 はい、それは「ナイル絵巻」というものを作ろうと考えているのですが、コレが30枚の版画をつなぎ合わせてエジプトを表現していこうというものなんですよね。まだ少ししか出来ていないのですが、2年後くらいには完成を目指して行きたいですね。
 作品中をナイル川が貫く形でそのほとりに様々な遺跡や人々が暮らしている様を描いていきたいんですね。せっかくエジプトを日本の木版画で描いているのでいっそ絵巻という手法で表現してみても面白いんじゃないかと思ったわけです。

-日本の芸術と、エジプトの融合ですね。LUXORでも和とエジプトの食の融合を図って、日本人に親しまれるエジプト料理を模索していますから、目指すところは似ているのかもしれません。
最後にこれからの抱負や目標と、なにか伝えたい事があればどうぞ。

 当面は「ナイル絵巻」の制作に力を入れて行きたいと思っています。そのほかにもまだまだ作りたい題材がありますからね、一生の楽しみ、人生の喜びとしてずっと続けていきたいと思っています。
 その為にも、健康に注意して精神的にも肉体的にも元気に過ごしたいですね。
 伝えたい事は、外国のみなさんにも日本の木版画のよさをもっとわかってほしい、そして広めたいという事です。いつかエジプトでも木版画が「モクハンガ」で通用するようになると嬉しいですね。。

 最後に希望として、叶う事ならエジプトで短期間でもいいので、エジプトに住んでゆっくりと木版画を製作してみたいんですけれどね。素敵な場所ですし、ツアーの日程などに追われることなくゆっくり描いてみたいですよ。

-同感です(笑)本日は貴重なお時間を頂き、ありがとうございました。

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山本 幸夫
 1935年、東京都目黒区生まれ。中学校の授業で版画との出会いを果たす。当時最初の作品で安藤広重の東海道五十三次に挑戦し、才覚を発揮する。
 社会に出てからは国家公務員、民間企業などでの職務をこなす一方で版画の製作も行っていた。本格的に木版画の世界に入ったのは定年を過ぎてからだった。その後、長年憧れていたエジプトへと渡りエジプトを木版画で表現すると言う、現在のスタイルを確立。独特の作風とテーマで多くの支持を集めている。
 年に1度のペースでさいたま市大宮区の大宮ソニックシティに作品が展示されている。
過去のインタビュー
No.04
フィフィさん
No.03
青木 香葉さん
No.02
木原 一彦さん
No.01
山本 幸夫さん

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